
◆フェブラリーS追い切り(19日・美浦トレセン)
今年最初のG1となる第42回フェブラリーS(23日、東京)の最終追い切りが19日、東西トレセンで行われた。根岸S制覇から中2週で臨むコスタノヴァが、美浦・Wコースで切れのある見せて「動き1位」を獲得。「考察」担当の水納愛美記者が、現地取材で名門・木村流の仕上げに迫った。
これが木村流だ! コスタノヴァは朝一番のWコースで、ヒップホップソウル(5歳オープン)を2馬身追いかけ、アトリウムチャペル(4歳1勝クラス)から4馬身先行。直線に入ると、中央から力強く脚を伸ばした。そのまま先頭に出ると、キレッキレの脚さばき。6ハロン84秒1―11秒6で、ヒップホップソウルと併入した。関東のトップステーブルによる、迫力満点の3頭併せ。初めての美浦取材で、いいものを見ることができた。
今回は初めての中2週。上昇よりも維持がカギだと考えていたが、太田助手は「最後まで攻めの姿勢で」と断言した。その理由を問うと、「木村流だから」。先週水曜の追い切りを終えて後肢に疲れが出たため、木~日曜は回復に充てるメニュー。「今日しっかりやれるようにするのが肝」と、全ては最終追いへの逆算だった。実際にまたがった太田助手は「前走より一段上がった」と満足げ。「馬体の張り、つやが落ちてくる気配はない」と、計算通りの仕上げだ。
前走の根岸Sは4馬身差で圧勝。武蔵野Sを目の外傷で回避し、仕切り直しの一戦だったが、待望の初タイトルを手にした。「強かったけど、想像以上ということはない。こういうふうになってほしいと思っていた」と同助手。陣営が認めてきた素質が、いよいよ満開になりつつある。
木村厩舎とは縁があるのか、今まで23年の宝塚記念(イクイノックス)、24年の秋華賞(チェルヴィニア)、有馬記念(レガレイラ)と、G1制覇の瞬間を現地で3度も取材している。これらは全て芝の中長距離路線。今回はダートG1の初制覇がかかる。木村調教師は「別に何もない。どのレースも緊張するし、責任を負わなきゃいけない」と冷静。それでも、この充実一途の5歳馬が、木村厩舎の新境地を開く存在である気がしてならない。(水納 愛美)