
◆第32回チューリップ賞・G2(3月2日、阪神競馬場・芝1600メートル=3着馬までに桜花賞への優先出走権、良)
阪神競馬場で行われた桜花賞トライアルの第32回チューリップ賞・G2は、9番人気のクリノメイ(酒井)が勝利。2着ウォーターガーベラ、3着ビップデイジーまでが本番の優先出走権を得た。 リニューアルオープンした「シン・阪神」に、新星が現れた。好スタートを決めて迎えた最後の直線。ビップデイジーと馬体を併せたクリノメイは、酒井のこん身の左ムチに応えて勢いを増していく。残り200メートルで先頭に立つと、最内から河内厩舎の意地を乗せて伸びてきたウォーターガーベラを鼻差で振り切った。
初コンビで重賞初制覇に導いた鞍上は「最高にうれしい。ゴールの時は内からやられて、正直負けたかと思った。本当に勝てて良かった」と喜びをかみしめた。
厩舎一丸となった調整が身を結んだ。前走の阪神JFはゲート内で暴れて外枠発走。本来の能力を発揮できず14着に終わった。発走調教再審査を経てのレースは9番人気。「中間から厩舎の方で馴致(じゅんち)して、ゲート練習もしてくれていた。その効果がしっかりと出せたおかげで勝利につながった」と酒井は感謝した。
桜花賞(4月13日、阪神)への出走権を得て、須貝調教師は「本番に向けて、気持ちの方を一番に優先してメンテナンスしていきたい。走るのは分かっているからね」と力を込めた。春の訪れとともにやってきたニューヒロイン。桜舞う4月の仁川で、新たな歴史をつくる。(山本 理貴)
クリノメイ 父オルフェーヴル、母クリノエリザベス(父プリサイスエンド)。栗東・須貝尚介厩舎所属の牝3歳。北海道日高町・木村牧場の生産。通算4戦3勝。重賞初勝利。総獲得賞金は7119万5000円。馬主は栗本依利子氏。