【報知杯】騎手・福永祐一を成長させた「王道」トライアル 療養生活支えてくれた家族の前で17年カデナ弥生賞V「印象深い」

騎手時代の17年に報知杯弥生賞を勝った福永調教師
騎手時代の17年に報知杯弥生賞を勝った福永調教師

◆第62回報知杯弥生賞ディープインパクト記念・G2(3月9日、中山競馬場・芝2000メートル)◆第59回報知杯フィリーズレビュー・G2(3月8日、阪神・芝1400メートル)

 クラシックに直結する牡牝の報知杯が初めて同一週に開催される。福永祐一調教師(48)=栗東=がそれぞれの思い出を語った。

 経験値が多いからこそ重みが分かる。福永調教師は騎手時代に報知杯弥生賞を2位タイの3勝。騎乗時【3225】で複勝率5割超えだった好相性のトライアルを「王道」と即座に言い切った。「皐月賞の最重要ステップレース。本番と同じ舞台だし、スプリングSでは(本番との)間隔が近い」。初騎乗は「クラシックと思うような馬は初めてだった」キングヘイローの98年(3着)。自身を初のダービージョッキーへ導いたワグネリアンの始動戦(18年2着)でもあった。

 特に2つの勝利が脳裏をよぎる。「完璧なレース」はサトノクラウンとの15年だ。好位直後で脚をため、直線で進路が開くとスムーズに加速する完勝だった。「バランスのいい馬でした。中山の2000メートルの理想的な勝ち方はこれかなという感じ。結構、自分のベースになっている」。確かな手応えと達成感に包まれた。

 「印象深い」のはカデナとの17年だ。約1か月前に落馬で左肘じん帯を負傷し、この週に復帰。療養中に支えてくれた家族を中山へ呼び、勝利を届けた。「(馬主の)前田(幸治)代表も来られて、チャンスのある馬に乗せていただき、しっかり結果を出せた。家族と一緒に写真も撮って、よく覚えているよ」と笑った。

 一方、報知杯FRはラインクラフトとの05年をすぐに思い出す。それまでのスピードを生かす先行策ではなく、差す形を試しての勝利。しかし、レース後は疲れがなかなか抜けず、桜花賞への調整は苦労した。「獣医さんに、こういう(本来と違う)乗り方は馬にダメージがくるからやめて、と言われました。桜花賞は先行して勝ったけど、その後はすごく調整が楽で、NHKマイルCは状態も完璧だった」。馬の持ち味を生かす大切さ。若き日の体験は、今にもつながる学びがあったという。

 今年から始まる報知杯ウィーク。報知杯FRの施行が1週早まったことで実現した。「いい考えだと思うよ。(本番まで)間隔の詰まった状態で使おうとは思わない。時代に合った番組にするべき」。一方でトライアルを経由しない馬も増えている。「確かに直行の方がコンディションは持っていきやすい。ただ、トライアルを使うことでガス抜きになる馬もいるし、肉体面より気性面で判断することが大きいと思います」。型にはまらず、一頭一頭と向き合うのが福永流。これからは調教師として、報知杯の歴史に彩りを加えていく。(山本 武志)

 <調教師として“報知杯デビュー”>

 ○…福永師は今年、調教師として“報知杯デビュー”を果たす。FRのランフォーヴァウは昨秋のデイリー杯2歳S勝ち馬。以前から本番のマイルより、7ハロンへの適性を買っている。「(7ハロンの)未勝利を勝った時の内容が良かったからね。完成度は高い馬だと思う」とこの一戦への勝負気配を感じさせる。もう一頭登録しているスライビングロードは自らの手綱でオークス馬へ導いたダイワエルシエーロの最後の子供。1勝馬だが、抽選をクリアすれば楽しみな2頭出しになる。

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