【金鯱賞】98年“伝説の一戦”再現へ「ここ2戦は強い競馬。ポテンシャルも高そう」新コンビ武豊騎手と重賞連勝狙う

ダイナミックに坂路を駆け上がったデシエルト
ダイナミックに坂路を駆け上がったデシエルト

◆金鯱賞追い切り(12日・栗東トレセン)

 第61回金鯱賞・G2(16日、中京=1着馬に大阪杯の優先出走権)の追い切りが12日、東西トレセンで行われた。重賞連勝を狙うデシエルトは栗東・坂路でパワフルな動き。新コンビを組む武豊騎手(55)=栗東・フリー=は、98年サイレンススズカの逃走劇以来のVへイメージを重ね合わせている。

 あふれ出る闘志をパワーに変えた。デシエルトがダイナミックなフットワークで栗東・坂路を駆け上がった。気性面を考慮し54秒3―12秒8と馬なりに終始したが、上々の雰囲気を漂わせた。「日曜日(9日)にもやって昨日から戦闘モードに入っているので、なだめる程度ですね」と安田調教師も順調な調整過程にうなずいた。

 昨年末のアンドロメダS、中日新聞杯と逃げ切り連勝。心身ともにようやく充実期を迎えた印象だが、重賞2連勝へ新コンビを組む鞍上も頼もしい。今回、手綱を執るのは武豊。調教などには騎乗していないが、「ここ2戦は強い競馬。ポテンシャルも高そう。いつもいつも力を発揮するタイプではない印象だけどね」とイメージを明かした。

 あり余る前進気勢に逃げ脚質。そして金鯱賞となれば―。競馬ファンの語りぐさにもなっている“伝説の一戦”を思い出さずにいられない。2着馬を1秒8もぶっちぎった1998年のサイレンススズカとのコースレコード(当時)での勝利だ。「脚質的にもここ2戦はスイスイときっぷのいい逃げ」とイメージを重ね合わせた名手。安田調教師も「前進気勢が強いので、自然と逃げる形になると思う」と“真っ向勝負”を示唆した。

 レース前日の15日は、レジェンド56歳の誕生日。「ありがたいよね。この年齢で有力馬を依頼してもらってね」と感謝した。デシエルトの2代母アドマイヤグルーヴ、3代母エアグルーヴはともに、自らの手綱でG1勝利に導いた名牝。ゆかりの深い血統でもある。27年前にサイレンススズカと大歓声を浴びた尾張の直線。今年はデシエルトと、どのようなレースを繰り広げるのか。新たな伝説が生まれることを期待したい。(戸田 和彦)

 【1998年金鯱賞VTR】 9頭立ても、菊花賞馬のマチカネフクキタルなど重賞ウィナー6頭が顔をそろえたハイレベルな一戦。中山記念、小倉大賞典に続く重賞3連勝を狙うサイレンススズカは、単勝2.0倍の1番人気に支持された。好スタートを決め、向こう正面では10馬身近くリードする大逃げ。前半1000メートル58秒1のハイペースにも、直線で勢いが衰えることなく、後続との差は広がる一方。大きな拍手に包まれ、悠々と先頭でゴールを駆け抜けた。1分57秒8のコースレコード(当時)での決着に「今日の競馬なら、日本中からどの馬がきても負けなかった」と武豊もうなる衝撃の走りだった。

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