【スプリングS】フィエールマン初年度産駒の遅れてきた大物 2億1000万円馬がデビュー2戦目で皐月賞切符取り狙う

戸崎との初コンビで臨むダノンセンチュリー(カメラ・荒牧 徹)
戸崎との初コンビで臨むダノンセンチュリー(カメラ・荒牧 徹)

◆第74回スプリングS・G2(3月16日、中山・芝1800メートル)

 今週は3重賞が行われ、皐月賞(4月20日、中山)トライアルのスプリングS・G2(16日、中山=3着まで優先出走権)ではフィエールマン初年度産駒のダノンセンチュリー(牡3歳、萩原清厩舎)がレース初となるデビュー2戦目での勝利を狙う。

 皐月賞への切符をかけた舞台で、フィエールマン初年度産駒の真打ちがベールを脱ぐ。22年のセレクトセール当歳で2億1000万円の値がついたダノンセンチュリー。天皇賞・春を連覇した父の産駒では最高落札額で、伯母が09年の仏1000ギニー馬のイルーシヴウェーヴという血統馬はデビュー前から注目を集めていた。

 父と同じく3歳になってから初戦を迎え、非凡なセンスを見せた。スタートを決めてハナを切ると前半1000メートル通過63秒2の緩い流れでもぴたりと折り合い、直線に入るとしっかりと加速。ラスト2ハロンを11秒0―11秒0でまとめて快勝した。当時、騎乗したキングは「リズム良く折り合って最後もいい脚を使ってくれたし、賢い馬」と高く評価していた。

 5日の1週前追い切りには今回コンビを組む戸崎が騎乗し、美浦・Wコースで5ハロン65秒8―11秒5、年長馬のシトラール(4歳1勝クラス)を相手に余力十分の手応えで併入した。デビュー前の追い切りに騎乗したことがある戸崎は「操縦性やコンタクトを教えている段階ではありますが、馬は成長して感じがいい。もともと身体能力があると思っていてレベルが高い」。先週まで26勝を挙げ、リーディングを走る鞍上の拳には素材の良さと成長が伝わっている。

 萩原厩舎の「ダノン」といえば19年の日本ダービーで首差2着(1着はロジャーバローズ)まで迫り、21年の安田記念を制したダノンキングリーが記憶に新しい。厩舎の先輩は3戦目の共同通信杯で重賞初勝利を手にしたが、キャリア2戦目でのVとなればスプリングS史上初。遅れてきた大物候補が、昨年の最優秀2歳牡馬のクロワデュノールなどが待つクラシック戦線へ、大きな一歩を刻む。(浅子 祐貴)

 ◆フィエールマン 父はディープインパクトで18年1月に東京で新馬勝ちをし、4戦目の菊花賞でG1初制覇。その後も中長距離戦線で活躍し天皇賞・春では史上5頭目の連覇(19、20年)を達成した。20年の有馬記念3着を最後に引退。JRA通算12戦5勝(うち海外1戦0勝)。重賞3勝は全てG1。21年から北海道日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬入り。初年度産駒の3歳世代はJRAで52頭がデビューし、11頭が勝利。

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