
◆第61回金鯱賞・G2(3月16日、中京・芝2000メートル)
今週は3重賞が行われ、金鯱賞・G2(16日、中京=1着馬に大阪杯の優先出走権)で、ラヴェル(牝5歳、矢作芳人厩舎、父キタサンブラック)が牝馬の30年ぶりVを目指す。昨秋の復活劇を経て今年初戦に臨む同馬を山下優記者が「見た」。
ラヴェルは昨年の秋にエリザベス女王杯で12番人気の低評価を覆すように2着になると、続くチャレンジCで牡馬を相手に中団から抜け出して快勝。後の3冠牝馬、リバティアイランドを破った22年のアルテミスS以来、2年1か月ぶりの重賞2勝目を手にした。
鮮やかな復活の要因はどこにあったのか。担当する福岡助手は「昨年の秋からカイバをよく食べるようになった。それが精神面のゆとりになって、(結果に)つながった」と証言した。真面目すぎる気性のため以前から折り合いがポイントだったラヴェル。それが父キタサンブラック譲りの成長力で調教を積んでも体が減らなくなり、心身のバランスが取れて本格化してきた。
ただ、今回気になるのは6日の栗東・CWコースでの1週前追い切り。いつも通り単走で追われて、6ハロン80秒4―12秒0。全体の時計は悪くないが、力みの目立った走りで追われてからの伸びが物足りなかった。「チャレンジCは状態が良かったので、このひと追いでどう変わってくるか」と同助手も慎重にジャッジした。3か月半の休養明けで、目標が先ということもあるが、課題の折り合いに不安が残った。
95年(同年は6月中旬開催)のサマニベッピン以降、牝馬による金鯱賞勝ちはないが、侮ることはできない。フォーエバーヤングでサウジC2勝目を挙げ、ビッグマネーをゲットしたチーム矢作の高い厩舎力で当週に状態を上げてくるだろう。
福岡助手は「この1週間で良くなってくる感触はある。ベーシックのところはできている。昨年の後半よりも、上を目指したい」と前を向いた。特に精神面に注目して、最終追い切りをチェックしたい。(山下 優)