◆第81回菊花賞・G1(10月25日・芝3000メートル、京都競馬場)
クラシック最終戦の第81回菊花賞・G1(25日、京都)で、菊2勝の名手、内田博幸騎手(50)=美浦・フリー=が逃げ馬のバビットと2冠馬斬りに挑む。皐月賞と日本ダービーは縁がなかったが、自身の“代打騎乗”をきっかけに重賞を2連勝して迎えたラスト1冠。無欲のベテランが一発を決めるか。
内田はバビットとのコンビで重賞を2連勝中。ラジオNIKKEI賞当日、団野の落馬負傷により急きょ決まった騎乗だったが、ベテランらしく息の合ったところを見せて初タイトルに導いた。
「競馬は調教を乗ったことがない馬にレースでパッと乗ることが多いもの。そこはプロだから乗りこなせますよ。初めて乗った印象はスタミナがある。福島ではそんなに良くない馬場で前半1000メートルを59秒台で行って押し切るのだから、普通じゃないと思いました」
続くセントライト記念では押してハナを奪ったが、行きたがる面を見せず道中はマイペース。前走とは一転、前半1000メートルを1分2秒6のスローに持ち込んで押し切った。
「あんまり引きつける競馬はしたくなかった。4コーナーを回ってスピードに乗ってきて、馬がそういう走りを覚えてきているんだと思います」
14日には栗東に駆けつけ、1週前追い切りに騎乗。CWコースを6ハロン82秒7―12秒0で3馬身先着した。実は12年前、バビットの父ナカヤマフェスタのデビュー戦に騎乗している。
「父の新馬勝ちはよく覚えています。狭いところを割って突き抜けて根性がすごかった。競争心が強いところは父と同じで、それがいい方に向いていると思う。(1週前追い切りは)反応が良く、順調にきている」
菊花賞は、大井からJRAに移籍した08年にオウケンブルースリで勝つなど自身3戦2勝だ。
「馬のリズムを大事にして、リラックスできる形で進めることが一番。馬が行きたい指示を出すときがあり、そこでケンカしないでうまく乗せていければ。とんでもないのが1頭いるけど、楽しんで乗りますよ。自分の競馬をして、どのぐらいやれるか楽しみです」
春のクラシックには間に合わなかったが、4連勝で迎えた菊の舞台。ここでも迷わず先手を奪う。(内尾 篤嗣)