【葵S】“短距離の安田”にニューヒロイン 父から引き継いだ快足馬がレースレコードタイの逃げで重賞初制覇

レースレコードタイで逃げ切ったピューロマジック(左)(カメラ・高橋 由二)
レースレコードタイで逃げ切ったピューロマジック(左)(カメラ・高橋 由二)

◆第7回葵S・G3(5月25日、京都・芝1200メートル、良)

 第7回葵S・G3が25日、京都競馬場で行われ、8番人気のピューロマジックが1分7秒1のレースレコードタイで逃げ切り重賞初制覇。安田翔伍調教師(41)=栗東=は、3月初旬に定年引退した父・隆行元調教師から引き継いだ快速馬でのタイトル獲得となった。2着に7番人気のペアポルックス、3着に6番人気のナナオが続き、3連単は36万2410円の波乱となった。

 快足娘がぶっ飛ばした。坂を上っても、下っても、直線に入っても、ピューロマジックは止まらない。8番人気の低評価を覆し、逃げ切りで重賞初V。横山和は「真面目に走ってくれるのはうれしいんですけど、もうちょっとリズムよく行ってくれたらいいな」と、本音をこぼしながら勝利を喜んだ。

 発馬の瞬間こそ他馬と並んでいたが、二歩目が抜群。一瞬でハナを奪い、6戦連続の逃げとなった。直線でペアポルックスに迫られてもどこ吹く風。再加速し、1馬身1/4差をつけた。1分7秒1の走破タイムは昨年のモズメイメイに並ぶレースレコードタイ。「あんまりけんかしないように、気持ちを尊重してあげたことで、いい結果が出たかなと思います」と鞍上は初コンビながらも見事に持ち味を引き出した。

 3月5日付の安田隆行元調教師の定年引退に伴い、息子の翔伍調教師が引き継いだ。翔伍師はメリハリの利いた走りをさせる計画も持っていたが、ゲートでの様子を見て「スピードを生かそう」と作戦変更。「定年前のむちゃ使いがなかったおかげもありました」と、「短距離王国」を築いた父の采配にも感謝した。

 この後は放牧に出され、心身両面をリセット。回復状況を見ながら、夏のスプリント重賞を目指していく。横山和が「本当にいいスピードを持っていますし、真面目すぎるぐらい真面目なのも武器」と評価する個性派。日本ダービーに出走する僚馬ダノンデサイルにも、最高の形でバトンをつないだ。(水納 愛美)

 ピューロマジック 父アジアエクスプレス、母メジェルダ(父ディープインパクト)。栗東・安田翔伍厩舎の牝3歳。北海道新冠町・村田牧場の生産。通算8戦3勝。総獲得賞金は6876万6000円。重賞初勝利。馬主は(株)スリーエイチレーシング。

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