国内のダート競馬が変革を迎え、その象徴と言える3歳ダート3冠。2日に大井競馬場で行われるジャパンダートクラシック(Jpn1)は、3冠最終章にふさわしい豪華メンバーがそろった。その先に世界を見る者、2冠を目指す者、最後の1冠に燃える者、地方馬としての意地に燃える者…。ファンの皆さんと同様、我々もジャパンダートクラシックは気持ちの高まりを抑えきれないほど楽しみにしている。
変革を唱えた一昨年、地方競馬の関係者から後ろ向きな声は決して少なくなかった。しかし、昨年はマンダリンヒーロー(牡4歳、大井・藤田輝厩舎)がサンタアニタダービーに挑戦し、2着惜敗の後、ケンタッキーダービーに地方所属馬として初参戦。ミックファイア(牡4歳、大井・渡辺和厩舎)は、ジャパンダートダービーでJRA勢を破り、無敗で南関東3冠馬に輝いた。
JRAの関係者が世界を目指すように、地方競馬の関係者はまず、国内のビッグレースに挑戦する意識を持つことが、いかに大切であるかを感じた。そして、挑戦を繰り返していたイグナイター(牡6歳、兵庫・新子厩舎)は昨年のJBCスプリントを制し、悲願のJpn1馬となった。年が明けるとドバイゴールデンシャヒーンにトライし、5着に健闘。NAR年度代表馬に恥じないレースを見せた。また、ライトウォーリア(牡7歳、川崎・内田勝厩舎)が今年の川崎記念を逃げ切り、コリアカップに参戦するなど、地方馬にとっても世界が近づいた印象を受ける。
昨年6月、浦河で若きホースマンに対して講演を行った矢作芳人調教師が、「海外に行けば中央も地方も関係ない」という話をされていたことを思い出す。ブルーバードカップと羽田盃が少頭数だったことを考えれば、早くからフォーエバーヤングとラムジェットなどが出走意思を示していた中で、各地の強豪が集結した地方所属馬の関係者には敬意を表したい。
唯一、交流重賞を制しているサントノーレ(牡3歳、大井・荒山勝厩舎)は、ひと叩きされて型通りに良くなっている。シンメデージー(牡3歳、高知・打越厩舎)は、ひと夏を越して成長が著しく、西日本3歳優駿を大差勝ちして大一番へ向かう。フジユージーン(牡3歳、岩手・瀬戸幸厩舎)は、不来方賞でJRA勢の壁に当たったが、「強い馬と戦い続けることで、馬がたくましくなっていく」と、瀬戸幸師は早い段階から参戦に意欲を見せていた。
フォーエバーヤング、ラムジェット、サンライズジパング、ミッキーファイトといった重賞ウィナーたちは確かに強い。しかし、多くのファンに浸透する上で、地方馬にも強い馬がいることを示す最高の舞台であることは間違いない。改革元年のビッグレースとして、最も盛り上がりを見せるジャパンダートクラシックは、20時5分発走だ。(競馬ライター)