
5日に開業した東西9人の調教師のうち、7人が今週末に初陣を迎える。
元騎手の柄崎将寿調教師は、乗り役時代に味わった悔しさを糧にして勝利を目指していく。「ジョッキーの時に苦しい経験をして、一つ勝つという重みを知っているので、一つ一つ勝っていければ」。騎手としては01年3月のデビューから10年12月の引退まで、約10年間でJRA通算33勝と白星に恵まれなかったが、その経験を財産にして生かす考えだ。
技術調教師だった昨年は、東西の様々な厩舎で研修を受け、牧場では育成の現場を目の当たりにして学ぶことは多かった。開業後も自ら調教に騎乗するつもりで、「ジョッキーだったというのは一番の武器で、他の乗り手とコミュニケーションを取って、よりよく意見をすりあわせていきたい」と語る。仲良く風通しのいい厩舎をつくるのが理想像で、指揮官は優しい雰囲気を漂わせている。
祖父・義信氏、父・孝氏に続き親子3代で調教師となり、22年2月に定年で引退した父からは短い言葉でエールを受けたという。「がんばれよ、としか言われませんでしたが、面と向かって言われたので重みが違う。その一言に全てが詰まっていると思います」と背筋を伸ばす。優しくひたむきに馬と仕事に向き合う覚悟だ。(坂本 達洋)