
5日に開業した東西9人の調教師のうち、7人が今週末に初陣を迎える。東田明士調教師(36)=栗東=は、土曜の阪神12Rで憧れの調教師人生の第一歩を踏み出す。
栗東トレセンで働き始める前から、元騎手で調教助手だった父・幸男さんの影響で調教師の道を志した。15年から池添兼雄厩舎で調教助手に。池添学師ら4人の調教師を輩出していた名門で腕を磨き、その思いをより強くした。一昨年5回目の挑戦でついに難関を突破。念願の開業から一夜明けて「思ったよりも冷静にできています。焦らず徐々に慣れていきたいですね」と安どの笑みを浮かべた。
昨年1年間は技術調教師として、かつて父が番頭格を務めた音無厩舎で研さんを積んだ。「音無先生にはいろいろなことを教わりました。偉大な人ですね。常歩(なみあし)を大事にされていて、馬を落ち着ける常歩と、運動するときの常歩を使い分けているのを見ていました。そういうところはしっかりと取り入れていきたい」。JRA通算996勝を積み重ねた名伯楽の姿から様々なことを吸収した。
今週末に初陣を控え、真新しい淡いブルーの厩舎服に身を包んだ指揮官は「チームでやることが一番。意思疎通を図りながら厩舎全員で馬について把握して、能力を引き出せるように扱っていきたい」と青写真を描いた。“音無イズム”を継承する若きホースマンの挑戦が、いよいよスタートする。