
◆第42回フェブラリーS・G1(2月23日、東京競馬場・ダート1600メートル)
25年のG1開幕戦、第42回フェブラリーS(23日、東京)は多彩なメンバーが砂王の座を争う。「考察」前哨戦編で水納愛美記者は、同舞台の武蔵野Sを制したエンペラーワケアに注目した。スムーズさを欠く厳しい競馬で距離への不安も一掃。さらに相手が強くなっても、好勝負が可能とみた。
1着馬にフェブラリーSの優先出走権が与えられるのは、プロキオンSと根岸S。だが今回は、武蔵野Sを勝ったエンペラーワケアに注目したい。
道中は前2頭と離れた4、5番手。4角でも手応えに余裕があり、勝利を確信したが、ここでヒヤッとする場面があった。抜け出しを図るペイシャエスに内から押し込まれ、バランスを崩したのだ。その瞬間に、進路も狭くなった。川田騎手は、すぐさま1頭分ほど外へ。残り1ハロン過ぎで空いたスペースを逃さず、猛然と突き抜けた。鞍上の好判断と、馬の瞬発力がなせる業だった。
エンペラーワケアにとっては、大きな意味を持つ勝利だ。それまでダートで8戦6勝、2着2回のオール連対だったが、距離は全て1400メートル。レース前には杉山晴調教師も「距離延長が大きなポイント。1600メートルはもってほしい」と願っていた。
蓋を開ければ、本番と同舞台でスムーズさを欠いても完勝。2、3着に追い込み勢が入ったハイペースで、先行して勝ったのも強調できる材料だ。マイルへの不安は解消。満を持してG1に臨める。(水納 愛美)
〈本格化著しい〉
17日の全休日は厩舎で静養。現時点で前走から体重が10キロ以上増えているが、野坂助手は「さらに幅が出て、成長をひしひしと感じます。筋肉質になったけど、スッキリしています」と本格化に目を細める。「普段おっとりしているし、マイルはもつと思っていました」。前走と同じ舞台で頂点を目指す。(栗東)