◆第42回フェブラリーS・G1(2月23日、東京競馬場・ダート1600メートル)
2025年のJRA・G1開幕戦、第42回フェブラリーSは23日、東京競馬場で行われる。1週間を通し、さまざまな視点からレースを深掘りしていく「考察」は水納愛美記者が担当。プロローグ編では、来月4日に定年解散となる栗東・音無厩舎が送り出す3頭に注目した。一方で今年は王者不在の混戦ムードと指摘。より重要となる各馬の状態把握に意欲を見せた。
あの一瞬だけは寒さが和らいだ。プロキオンSのレース後、音無調教師は検量室前で2着の枠場に入ったサンライズジパングを出迎えた。数秒後、隣の「1」へ。そこに帰ってきたのは、僚馬のサンデーファンデー。ラストイヤーに、自身初の重賞ワンツーフィニッシュを決めた。頭差の決着だったこともあり「同着でも良かったんちゃうんかい」と本音をこぼしながら、殊勲の鮫島駿騎手と熱い抱擁。周囲が温かい空気に包まれた。
サンデーファンデーは優先出走権を得たフェブラリーSへ。サンライズジパングは当初、サウジアラビアのレッドシーターフハンデキャップ・G2(22日、キングアブドゥルアジーズ競馬場、芝3000メートル)を目指したが、国内のダートG1に切り替えた。
音無厩舎からは、23年ブリーダーズCクラシック2着のデルマソトガケも参戦する。2連勝と勢いづく5歳馬、芝&ダートの二刀流、海外経験豊富な実績馬。個性豊かな“三本の矢”で07年サンライズバッカス以来のV、そして3月4日の定年解散前ラストG1での勝利となれば、これ以上ないドラマだ。
今年のフェブラリーSは混戦模様とみる。王者レモンポップが引退。フォーエバーヤングなどのトップ層は、前日に行われる1着賞金世界トップのサウジC・G1(22日、キングアブドゥルアジーズ競馬場、ダート1800メートル)に遠征している。
それでも、決して今年のレベルが低いわけではない。ジャパンダートクラシックでフォーエバーヤングの2着だったミッキーファイトや、ダートで9戦オール連対のエンペラーワケアなど、G1初挑戦組も将来有望。だからこそ、このメンバーから、世界を股にかけて活躍する馬が現れるはずだ。
今週は美浦トレセンで取材を行う。競馬記者になって3年5か月目で、初めての“関東滞在”。一層、各馬の気配と陣営のトーンに注視する心構えだ。そしてフェブラリーSが、25年最初のG1にふさわしい熱戦になってほしい。(水納 愛美)
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