
20日の函館5R(芝1200メートル)でレコードVを決めたモンファボリは、まだ幼さを感じさせる412キロの馬体に似合わぬ大きなフットワークから生み出すスピードが武器だ。能力指数IDMが49とデビュー戦としては高い数値を記録。父が無敗の最強馬フランケル、母が米G2勝ち馬と血統背景も上々だ。次走予定している函館2歳Sでも有力の一頭だが、成長次第では短距離路線を長くにぎわす馬になる可能性がある。
21日の東京5R(芝1600メートル)で初陣を飾ったブルーシンフォニーは、雨、出遅れ、直線の不利を乗り越えての勝利で、たった1戦で何戦もの経験値を得た。バランスのいい中型の好馬体と確実な末脚。将来が楽しみな好素材だ。
【6月20日・東京5R、2歳新馬、芝1400メートル、稍重馬場=16頭立て】
★クールキャット(牝、美浦・奥村武厩舎、父スクリーンヒーロー、母メジロトンキニーズ、母の父ダンスインザダーク)504キロ、生産牧場=レイクヴィラファーム
【きょうだい】トリオンフ(牡、父タートルボウル、18年小倉大賞典、小倉記念、20年中山金杯)
【レースVTR】やや折り合いを欠く形で7番手追走。4コーナーでは鞍上がスムーズに内へ誘導すると、ゴール前で後続を一気に突き放した。勝ち時計1分23秒4。
【IDM】40
【コメント】ルメール騎手「まだ余力がありそう。一生懸命で、最後は(体が)沈んで速い脚を使った。距離は1600メートルでも全然大丈夫」
【外厩】ノーザンファーム天栄
【将来性】★★★ ※胴伸びが良く、牡馬顔負けの迫力ボディー。パドックでは落ち着いて周回していたが、スタートで仕掛けられると首を上げるシーンも。最後まで余力を持って伸びたように脚力は確かだ。使ったことで気持ちが入りすぎないかを注視したい。
【6月20日・函館5R、2歳新馬、芝1200メートル、良馬場=11頭立て】
★モンファボリ(牝、須貝尚介厩舎、父フランケル、母フォーエヴァーダーリング、母の父コングラッツ)412キロ、生産牧場=ノーザンファーム
【血統】現役時14戦14勝、うちG1・10勝の父。母は米ダートG2・サンタイネスSの勝ち馬。曾祖母ローミンレイチェルはゼンノロブロイを出すなど、日本で枝葉を広げる。
【レースVTR】抜群のスタートを決めハナへ。道中も軽快なリズムを刻み、直線に入ると後続を引き離し、最後は5馬身差で2歳レコードV。勝ち時計1分8秒7。
【IDM】49
【コメント】武豊騎手「フットワークと走りのバランスが良く、いいスピードがある。距離は短い方がいい」
【将来性】★★★★ ※小柄な馬体も四肢を大きく伸ばす走法。スピードの乗りが良く、この距離なら楽に主導権を奪える。同日のメイン、3勝クラスのSTV杯勝ちタイムに0秒2遅いだけの好時計。次走予定の函館2歳Sでも最有力。
【6月21日・東京5R、2歳新馬、芝1600メートル、稍重馬場=13頭立て】
★ブルーシンフォニー(牡、美浦・伊藤圭三厩舎、父スクリーンヒーロー、母ブルーストーン、母の父コマンズ)464キロ、生産牧場=ダーレー・ジャパン・ファーム
【血統】近親にリステッド2勝のドーヴァー(父アドマイヤムーン)がいる。
【レースVTR】スタートがイマイチで6、7番手。直線で外から内へ押し込められ進路をなくしながら、再び外に切り替え、上がりNO1の末脚(3ハロン34秒2)で前をまとめて差し切った。勝ち時計1分37秒2。
【IDM】37
【コメント】田辺騎手「閉じ込められて、追い出しを待たされたが、進路を切り替えてからの走りはよかった。芝1400メートルを除外されたが、ゲートが速くないので、逆に1600メートルでよかったのかも」
【外厩】吉澤ステーブルEAST
【将来性】★★★★ ※雨馬場、馬群、切り替えて瞬時に反応したセンス、勝負根性。1戦で多くのものを見せた価値ある1勝。良馬場ならさらに切れる脚を使えそうだ。課題はスタート。
【6月21日・阪神5R、2歳新馬、芝1600メートル、良馬場=16頭立て】
★シュヴァリエローズ(牡、栗東・清水久詞厩舎、父ディープインパクト、母ヴィアンローズ、母の父セーヴルロゼ)438キロ、生産牧場=ノーザンファーム
【きょうだい】アジュールローズ(牡、父ヴィクトワールピサ、16年プリンシパルS)
【レースVTR】好スタートから3番手で運び、直線でブレイブライオン(2着)に並びかけられたが、最後は3/4馬身差突き放して初陣を飾った。勝ち時計1分35秒9。
【IDM】38
【コメント】川田騎手「まだまだ精神的に幼いですが、この時期なので仕方がありません。そういった面が成長すれば、よりいい走りができると思います」
【将来性】★★★ ※スタート、レースセンス、勝負根性に優れ、安定した立ち回りができるタイプ。心身ともにまだ幼く、のびしろは大きい。
※IDMとは…InDex Memoryの略称。JRDB社が開発した能力指数。馬場差やペース補正、それに出遅れ、レース中の不利、コースロス、馬場の悪い所を通ったなど記憶要素を元に算出。今年のダービー馬コントレイルのデビュー戦の指数は35、オークス馬デアリングタクトは39だった。