【ヴィクトリアマイル】ララクリスティーヌで夫婦経営の土井牧場が27年ぶりのG1挑戦 願いを超える活躍さらに…

土井牧場の期待を一身に背負ってG1に挑むララクリスティーヌ
土井牧場の期待を一身に背負ってG1に挑むララクリスティーヌ

◆第18回ヴィクトリアマイル・G1(5月14日、東京競馬場・芝1600メートル)

 第18回ヴィクトリアマイル・G1(14日、東京)には、ミッキーアイル産駒のJRA重賞馬3頭が勢ぞろいする。2月の京都牝馬S制覇で最も遅く、その仲間入りを果たしたララクリスティーヌは北海道新冠町・土井牧場の出身。夫妻2人で営む同牧場の生産馬として、27年ぶりのG1挑戦となる。

 新冠からのエールを力に、潜在能力を開花させる。ララクリスティーヌは母スーパーマダムが現役時9戦1勝で、自身のきょうだいも中央での勝ち上がりは0頭。祖母オメガフォーチュンも未勝利だった。しかしもう1世代遡れば、3代母エリンバードは94年イタリア1000ギニー覇者。翌95年に来日し、蛯名正(現調教師)を背に京王杯SC(13着)、安田記念(9着)に参戦した。その娘には、11年のオークス馬エリンコートがいる。

 母は社台ファームの生産馬だったが、繁殖セールで土井牧場の土井和則さん(65)に購入された。3番子の父に選ばれたのが、種牡馬デビュー年だったミッキーアイル。土井さんは「種付け料があまり高くない。あとはディープの子だったらいいかな」と2つの決め手を振り返る。こうして生まれたのがララクリスティーヌだった。

 土井牧場は和則さんが妻の三恵子さんと2人で営む。繁殖牝馬は3頭で、決して大規模ではない。生産馬の重賞制覇は父・昭徳さん名義を含めて3度。ララクリスティーヌの京都牝馬Sはマイティーフォースの95年京成杯以来、28年ぶりのタイトルだった。和則さんは「いやあ、夢みたいで。(約)30年前に勝ってその後は鳴かず飛ばずだったから、もう重賞に届く馬は無理かなと、正直な話、思っていました」と声を弾ませる。

 ララクリスティーヌの誕生時については「そんなに印象は…。いい馬だったのは覚えているけど…」と漏らす。それは手がかからなかった証拠。離乳して三恵子さんの実家である福山育成牧場に預けるまで、けがも病気もしなかった。「中央に行って一つでも勝ってくれればいいなというのが初めの思い。ここまで来るとは」。その活躍は現時点で、願いをはるかに超えている。

 土井牧場生産馬のG1出走は96年NHKマイルCのロックホルト(17着)以来、実に27年ぶり。和則さんは「うまくいけば、着にでも来てくれればいいかなと思ってるけど、まずは無事に」と、静かにその時を待つ。ララクリスティーヌにとっても5歳にして初の大舞台。温かいふるさとからの応援が、心強い味方だ。(水納 愛美)

 <相性抜群のコンビ菅原明良騎手「やるべきことは明確」> ララクリスティーヌの手綱を執る菅原明はフローラS、スイートピーS、新潟記念と3週連続でメイン制覇中。G1は今年2戦目、通算12回目の騎乗となる。昨年のNHKマイルCでは最低人気のカワキタレブリーで3着激走。「いい馬の依頼をたくさんいただいているし、そろそろG1でも結果を出したいです」と、さらなる高みを目指す。

 ララクリスティーヌとは4勝2着2回と抜群の相性。「前で運んで切れる脚も使えるし、どの競馬場でも変わりなく走れる」と長所を語る。同馬の初G1挑戦に「今までとはレベルが違いますし、東京だと直線が長いので、あまり早く脚を使うと最後厳しくなる。ただ、やるべきことは明確ですから」と、虎視たんたんと勝利を狙っている。

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